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「じいちゃんとけん玉」
2006-02-08 Wed 21:07
   「じいちゃんとけん玉」 [2]
          ( 1から順にどうぞ )
そして僕はそのヒーローの七不思議というものを秘かに探し始めることにした。そのきっかけとなったのが、普段何をしててもかすかに震え続ける彼の手が、何故かけん玉を持った時だけピタリと止んでいるのを発見したからだ。それは今でも不思議のまま解明はされていない。
 「一日中けん玉持ってたらずっと震えなくていいよって、今度合ったらじいちゃんに僕教えてあげるんだ」
 無邪気な浅はかさから思いついた大発見を、両親にしどろもどろに制止された記憶がかすかに残っている。
 
 2つ目:どんなに朝早く僕が起きてもじいちゃんは既に起きていてどこかに出かけている。(早朝の公園でタバコを2本吸うのが日課だったらしい)
 3つ目:壊れて動かない懐中時計をいつも持ち歩いている。(戦争中、「戻ってきたら結婚しよう」と約束したばあちゃんからお守りとして貰ったものらしい)

あまり真剣に探さなかった為に七不思議はなかなか7つ揃わず、3つ目を見つけた中2の夏に、じいちゃんは脳梗塞でこの世を去った。
 けん玉を持っていないのにピクリとも動くことの無い彼の体は、まるでじいちゃんそっくりの他人の様で、深い悲しみというよりは大きな違和感が僕の心を支配した。
芸術品の様な皺もざらざらした手も以前と同じくそこにあるのに、精巧に出来た贋作が横たわっているかのようだった。
 だから僕は、お通夜でも葬式でもその“贋作”の為に涙を流すことは出来なかった。死者の為に涙を流せる機会を失った僕は必然的に現在まで、じいちゃんの為に涙流した涙は一滴もなかった。薄情な奴だと思われるかもしれないが、僕はどこかで“本物”が
 「謙太、どうだお前も一緒にやらないか」
と、あの無邪気な笑顔を浮かべながら今もけん玉を操っているように感じられてならなかったのだ。
 「じいちゃんはなぁ、これにかけては天下一だぞ。まだまだ若いもんには負けてられん」
と。

<続く>

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